ご 報 告


■ 宮城県栗原市内のため池で池干しが行われました

 2023年11月24日に,栗原市内の太田山塚沢にあるため池で,池干しが行われました。この池では,2013年11月14日に池干しにより319匹のブラックバスの駆除が行われました。その後,2019年,2021年,2022年と三角網とセルビンによる調査が行われ,小魚やエビ類がたくさん捕れましたが,ブラックバスは見つかりませんでした。小魚やエビがいることはバスがいないしるしです。ところが2023年5月28日に突如,多数のバス若魚の泳ぐ姿が水面から見えました。ごく最近に何者かが違法に放流したと判断し,急遽池干しをすることとなりました。全長9〜13センチの今年生まれ79匹,18〜26センチの1才魚113匹,43センチの高齢魚1匹の,合計193匹が駆除されました。ふつうは30〜40センチの親魚がいくらかいるはずが,とても不自然な年令構成でした。エビ類は全く見つからず,小魚もヨシノボリ類がたったの1匹しか捕れませんでした。今年生まれは高齢魚と1才魚のうちで成長の良いものとの間の子供で,放流されたものの大半が1歳魚だったとすると,自然の成長と死亡率から逆算して,2023年3〜4月に,キロ当たり18匹ぐらいの流通銘柄が10キロ放流されればこうなる,と推定されました。とうてい素人の業とは思えません。分析の詳細については論文として報告予定です。




山塚沢ため池での池干し(2023年11月24日)




駆除されたブラックバス


 この活動は,宮城県北部で池干しや生き物調査などを広く行っている,「ナマズのがっこう」が実施するものです。水生生物保全協会は(公財)宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団とともに,この活動に協力しています。


解 説

 ブラックバス(標準和名オオクチバス,学名=Micropterus nigricans  北米原産で魚食性の大型淡水魚。スズキに近い仲間。ルアー釣りの対象として全国で盛んに放流された。生態系への悪影響が大きいため,生きた個体の飼育,譲渡,運搬,放流が法律(外来生物法)で禁止されている。ただし,漁業権のある水域や釣り堀など,特別に許可を得たところに向けて,許可を得た種苗が流通している。それ以外の違法な放流は今でも後を絶たない。写真は2019年の池干しで駆除した個体。

本件の問い合わせ先  (一社)水生生物保全協会
 






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